以前から上村研究会(障害者のパソコン研究会)で取り上げて来たUDトークについてよく知ろうと、すでに導入されている聴覚障がい者就労移行支援事業所「いそひと」の見学に行って来ました。施設長の戸田重央さんから2時間にわたって詳しく説明してもらいました。
http://www.isohito.jp
★「いそひと」の成り立ち
音声日本語50音に1つ新たな手だてが加わることで、聴覚障がい者が社会で活躍する役に立ちたいとの思いからのネーミングだそうです。
株式会社ゼネラルパートナーズという障害者就労支援をしている会社の1部門として2015年2月に開設されました。他にうつ病部門、統合失調症部門、発達障がい部門、精神障害者の農業生産事業(ここでは椎茸の菌床栽培を行っている)があります。
ハローワークや就労支援センターから紹介されて来る聾者、聴覚障がい者に2年間の研修とトレーニングを行って、就労に結びつけています。聾者と聴覚障がい者との割合は4:1で聾者が多いとのこと。その後、3年間は職場を定期的に訪問して、本人と職場環境の調整を行っています。この1年間での就職は10数人にのぼりました。
当事者は、自分が聞こえない程度を相手に分かりやすく伝え、自分から職場に働きかけてこんな配慮があれば、自分はこれだけの仕事ができるというアッピールする力が必要です。人間関係がうまくいかずに、仕事を辞めることが多いので、それを避けるストレス対処法なども学びます。
サポートの内容はITに重点が置かれており、スマホやタブレット、パソコンの研修が主に行われていました。読話、手話、指文字、筆記もありますが、どちらかというと次の情報保障ツールと位置づけられているのが印象的でした。

★UDトークについて
上村研究会で昨年来、使用して来たUDトークは無償ダウンロードできるアプリでした。今回「いそひと」でデモンストレーションしてもらったのは企業用のUDトークでした。その違いは?
① 安定している:つまり、普通の日本語だったら8〜9割は正確に声を文字に変換します。
② 単語登録ができる:特殊な専門用語などは、あらかじめ登録しておくとすらっと変換してくれます。
③ パソコンで修正できる:間違いはおこります。パソコン上で間違いを修正して、正確な情報を伝えられます。
それでも、複数の人が同時に発言したり、私語をするとそれが文字化されて混乱することがありますが、戸田さんは「いそひと」のUD会議ルールを示して、交通整理をしていると教えてくれました。
○ 会議の冒頭で誰がどのツールを使うか確認する。
○ ゆっくり、はっきり話す。
○ 指示語(あれ、それ)はなるべく使わない。
○ 他人の発言に割り込まない。
○ 発言は書く、表示する。
○ 雑音を減らす。
○ 1時間に1回(5分)は休憩をとる。
○ 照明を合図に使う。
○ 発言の機会をふる。
最後に戸田さんが説明された「聴覚障がい者にわかりやすい会議は誰にもわかりやすい会議」ということばが印象に残りました。