赤ちゃんは、よく、風邪を引きます。熱があっても、真っ赤な顔をして、そこそこのご機嫌のときは安心です。でも、泣いてむずかっていたら、耳をのぞくことにしています。赤ちゃんは中耳と、のどをつないでいる耳管が短くて、真っすぐなため、風邪を引くと急性中耳炎になりやすいからです。幼児も同様です。
最近はライトの付いた耳鏡があるので、だれでも簡単に耳の中と鼓膜を、明るく拡大して見ることができます。鼓膜が赤くなっていたら、急性中耳炎です。小児科では、まず、抗生物質を処方します。これをのんでも、泣き叫ぶようであれば、耳鼻科へ連れて行って鼓膜切開をしてもらわなければなりません。近くの耳鼻科医との素早い連係プレーが必要になります。
あるいは、自然に鼓膜が破れて、耳だれが出てしまうこともあります。穴が開いた鼓膜は、自然に再生して、そのうち閉じてしまうものです。それまでは、おふろやプールで耳に水が入ると、治りが遅くなるので、注意しましょう。
また、抗生物質は、症状が治まったからといって勝手にやめてしまわずに、必ず医師の指示通りにのんで下さい。熱が下がり、痛みがなくなったら、普通の生活をさせて構いません。保育園、幼稚園にも登園させてください。
小学校低学年までは、急性中耳炎を何回も繰り返しがちです。風邪を引いて小児科医に掛かったら、そのことを積極的に話してください。10歳くらいになると、耳管が長くなり、適当な彎曲もできて、中耳に細菌が侵入しなくなり、急性中耳炎ともおさらばです。
それまで、普通に聞こえたり、話したりしていた子供が、急にお母さんの話が聞こえない様子で、何度も聞き返したり、テレビのボリュームを上げたりすることがあります。これは浸出性中耳炎のせいであることが多いのです。気付かれないまま、3歳児健診で難聴が見つかる場合もあります。
浸出性中耳炎では、熱も痛みも、耳だれもありません。中耳に浸出液が溜って聴力が落ちます。急性中耳炎をしっかり治さないでいる場合に見られます。
また、アレルギー性鼻炎でも耳管の粘膜がはれると、中耳にたまった液はのどの方に流れ出しませんし、耳管が開いている場所にあるアデノイドが大きいときにも、同じことが起こります。  浸出性中耳炎が疑われるときは、耳鼻科医の診療を受けましょう。気長に構えて治療をする心構えが必要です。