ノンタンの「おねしょでしょん」は、子供たちに人気がある絵本です。主人公のノンタンも、友達の動物たちも、全員、おねしょをしてしまいます。けれども、自分たちで布団を干して「おねしょをしませんように」とお願いしながら、温かな布団で眠りに就きます。おねしょをしても、こんな風だったらよいのですが、お母さんたちが、困り顔の子供を連れて、相談に来るところをみると、現実はそうはいかないようです。
赤ちゃんのときは、おしっこがぼうこうにたまると、反射的にぼうこうの壁が縮んで、おしっこがでてきます。自分でコントロールできないんですから、おむつをしていてもだれも不思議には思いません。2歳頃には、おしっこがたまったら、お母さんに素振りやことばで知らせて、おまるやトイレに行き、自分の意志で出せるようになります。こうなると、昼間のおむつを外すことができます。
睡眠中のおしっこを全部ためておけるほど、ぼうこうが大きくなるか、ぼうこうがいっぱいになると目が覚めて、トイレに行くようになれば、夜のおむつも外せるわけです。これには個人差があります。5歳でも20%の子供がおねしょをしていますが、年齢とともに減り、中学生を過ぎるとみられなくなります。おねしょの8割が、このタイプです。
この子供たちにとって、おねしょは病気ではなく、自然で当たり前なことなので、ノンタンのように布団を干して、パジャマを着替えさせておけば済むことです。おねしょシーツをして、布団が濡れないようにしておきましょう。くれぐれも、しかったり、愚痴を言ったりしないでください。夜中に起こして、トイレに連れて行くと、一見おねしょが治ったように見えますが、おしっこのコントロールの発達をかえって遅らせるので、お勧めできません。「焦らず、怒らず、起こさず」がモットーです。
夜のおむつが外れていたのに、下に妹や弟が生れたり、入園というようなストレスが掛かったりすると、おねしょが再開してしまう子供もいます。この場合は、思い当たる原因を和らげる努力をしてみてください。
また、たまに糖尿病や泌尿器科的病気が原因で、おねしょが続いている場合もありますので、心配ならば、一度検査をしてみます。合宿や修学旅行などで泊まりに行くときには、薬を使って抑える方法もあるので、お医者さんに相談してください。